多治見市笠原町K様邸性能向上リノベーション工事
多治見市笠原町K様邸性能向上リノベーション工事
多治見市笠原町K様邸性能向上リノベーション工事
季節は3月前半。川沿いの土手が緑で輝きはじめるなど季節は確実に春めいてきてはいましたが、その日の車載外気温度計は日中でも5℃を計測。日差しはあるものの風が強く、時折小雪が風に舞う寒い日ということもあり、水野建築が手掛けた気密断熱性能を体感するにはちょうど良いタイミングといえました。
K様邸は築60年ほどという平屋住宅です。棟と下屋が東西に伸びる厨子(つし)風のデザインで、通りから奥まった玄関側のみ角度を南に向けた入母屋の破風が飾る伝統的な日本家屋スタイルです。
今回の外装工事に関してはモルタルの外壁からガルバリウムへの変更だけとのこと。とはいえ軒の樋周りがたわむことなく一直線に伸びている様子から桁や垂木のゆがみのないしっかりした造りであることがわかりました。
聞けば、30年前に屋根を葺き変えており、さらに10年前に大容量の太陽光パネルも設置するなど、これまで何度か手が加えられていることから骨格状態が良いのだと思いました。
冬の日照不足でこんなに寒い家になるなんて
K様邸はご夫婦と成人したお二人のお嬢様の4人家族。築60年ほどのお住まいということもあり、耐震性能が不安になることはもちろんでしたが、水回り設備の老朽化が顕著になったり、床がたわんで歩くたびにふわふわしたり、何より冬の寒さが身に応え、それらの不具合の解決や冬の寒さから解放されたいという切実な思いがありました。
「実は、決定的な理由は、冬の暖かな日差しが得られなくなったことなんです」とK様は打ち明けます。「もともとは日当たりのよい場所で、天気のいい日には南の縁側で暖まった空気が家中に温もりを循環させていて、遊びに来るお友達からも『冬の日中は暖房要らずだね』って言ってもらえていたんですよ」。
しかし1年前、これまで空き地だった南側に2階建ての住宅が建ってしまったため、太陽が傾く12月になると縁側まで日影が伸びることにより暖かくなくなってしまったのだと実情を伝えてくれました。
なるほど、冬こそほしい日照が絶たれるとなればことは重大です。
ずっと馴染んできた土地、そして愛する家。一時は新築なら暖かな家になるだろうからと建て替えも考えたというご家族。ただそうなれば家を建てる費用のほかにこの家の解体費用、工事期間中の住み替え家賃が上乗せで掛かり、さらには10年前にせっかく費用をかけて設置した大容量の太陽光パネルがもったいないという話に。もちろんずっと家族に寄り添ってくれたこの家に対する愛着が最大のネックだったとも打ち明けるK様。家という財産を引き継ぐ。そんな意義を感じていたと話します。
愛着のある家だからこそ高性能の家へと再生させたい
そんな時、「それならこの家を再生する方法を考えようよ」と二人のお嬢様が提案し打開策を検討。そして興味を持ったのが「性能向上リノベーション」でした。
それは、単なる老朽化改善やデザイン上の変更に重きを置くのではなく、耐震性能を引き上げたり、気密断熱性能を高めたりといった「住宅性能そのものを高める工事方法」です。特にこの方法であれば行政からの補助金や税金控除も受けられるとあって、「これなら我が家にぴったりじゃない?」と「我が家再生プロジェクト」に向かって行動を開始。ネットを使い候補になる施工会社を精査していきました。
会社選びで重視したのは、古い家での「性能向上リノベーション」の実績があること、責任者が明確で持続的に地元密着サービスが得られる会社であること、と話します。そうなれば東濃エリアで実績を残す「水野建築」との出会いはある意味必然。性能にこだわるホームページの内容、社長のブログなどに魅力を感じたと話します。
さっそく相談に出かけたご家族は、社長自らが窓口になり、技術的なことがしっかり解説してもらえ、具体的な対応方法や数値的な根拠も明確だったことが決め手になりました。そして、「今思えば、『性能向上リノベーション』に対してここまでできる会社そのものが多くなく、しかもその会社が隣の市にあったことは本当にラッキーでした」と話します。
間取り変更も同時ならコスパアップ
さて、床も剥がすという大規模な工事になるため、間取り変更が同時ならコストメリットも高いことからK様は間取りの変更も依頼しました。
要望点は、家族が集いやすい広いLDKをつくること、和室の続き間を洋室に変えてお嬢様たちの個室をつくることでした。
そこで北西の角に位置していたダイニング・キッチンを、これまで子ども室として使っていた北東に移すことで空いた場所をご夫婦の寝室へと造り変え、そしてこれまでご夫婦が寝室として使っていた南西の和室はそのまま残し、続き間だった2つの和室の縁側を無くしながらお嬢様たちの2つの洋室にする計画を練りました。
こうして、リノベーション後のK様邸は、家族が集える広いLDKが生まれ、使い方が明確でなかった和室が子ども室になるなど大好評。家族全員がゆったり過ごせる家になったと喜んでおられました。
話を戻し、K様邸の性能診断では断熱工事のほか耐震性能を強化する必要があったため、要所の壁に耐震補強工事を行いました。
気密断熱性能の向上では、南西にある畳敷きの和室以外の床面を全て剥がし、大引や根太の構造強化と共に断熱パネルを敷き、カバザクラの無垢床で内装を仕上げました。天井も断熱材を敷き詰め、開口部は樹脂サッシにすることで家全体の気密断熱性能を大幅にアップ。ご家族が目指した「この家を建て替えるのではなく再生させる」という目的は見事に達成されました。
冬、吐く息が白くならない家って最高!
こうして完成したK様邸の住み心地は激変。その変化をお嬢様にお聞きすると「こうして薄着でいられますけど、今はまだまだ寒い時期。以前なら家の中だったとしても、厚着した上にさらにワタ入りのドテラを羽織らないと過ごせなかったのが嘘のようです」と目を輝かせます。
さらに「夜、お布団に入る時もこれまでは体が冷え切ってなかなか寝付けなかったのが今はすぐ夢の中です。昨年までは厚手の布団や毛布を何枚も重ねていましたし、それでも布団の中はキンキンに冷えていて、足が冷たくて眠れないので湯たんぽやあんかを事前にお布団の中に入れるなどをしてしのいでいました」と打ち明けます。
もちろん寝てしまえば体温で布団の中は暖まりますが逆に今度は布団から抜け出すのもおっくうになったという毎日。朝目覚めた時など天井に向かって吐く息の白さでその日の寒さを推しはかりながら気合を入れて布団から抜けだしていたそうです。
「それなのに新しくなったこの家では軽い布団1枚で寝られるんですよ」と大喜び。「朝の目覚めもすっきりです」。
日常生活の変化では、先に触れたようにドテラを羽織りストーブのある部屋や炬燵のある部屋に家族が集まり、休日などは、暖まった部屋から外に出ることも煩わしく感じたそうです。
特に家事をこなすことから手がしもやけになっていたと当時を振り返る奥様は、日の出前に朝一番で起きることから「以前はヒーターのスイッチを入れる時の表示が5℃以下だったのに今は15℃前後なんですよ。それに暖房を付ければすぐに20℃まで暖まるし、スイッチを切っても室温が持続するので経済的です」ととても幸せそう。
もちろん今ではしもやけも解消。家中が暖かくなったため、ヒートショックの心配がなくなり、早めにお風呂に入っても湯冷めの心配をすることなく過ごせることも大きな変化、と満足そうに話してくれました。