3回シリーズ・第1回です。
9月10日、「失敗事例から学ぶ床下エアコンの設計・運用」というセミナーを受講しました。今回から3回にわたり、床下エアコンについて、皆様の家づくりの参考になるように分かりやすくお伝えします。
床下エアコンとは、一般的な家庭用エアコンから暖かい空気を床下へ送り、床のガラリなどを通して各部屋へ届ける方法です。
床の表面温度が上がり、足元から穏やかに暖まることから、関心を持つ方も増えています。
専用の全館空調設備と比べて、導入費用を抑えやすいことも魅力です。
しかし、床下にエアコンを設置すれば、それだけで家中が快適になるわけではありません。
セミナーで特に印象に残ったのは、失敗の多くが「エアコンの能力不足」ではなく、「空気がうまく循環していないこと」から起きているという点です。
エアコンから暖かい空気を送り出しても、基礎の立ち上がりなどに遮られれば、床下の隅々まで届きません。その結果、エアコンの近くは暖かいのに、離れた部屋の床は冷たいという温度差が生まれます。
そのため、構造上必要な基礎の強さを確保しながら、空気が通る開口部の位置や大きさを設計し、床下全体に暖気が広がるように計画する必要があります。
また、空気は送り出すだけでは循環しません。各部屋を通った空気が再びエアコンへ戻る「リターン経路」も必要です。
吹き出す空気と戻ってくる空気の両方を考えて、初めて一つの循環になります。

これは、ストローの片方を塞ぐと空気が流れないのと同じです。部屋のドアを閉めた途端に空調が効きにくくなる場合は、空気の戻り道が不足している可能性があります。
ドア下のわずかな隙間だけでは、必要な量の空気を戻せないこともあります。そのため、リターンガラリの位置や大きさまで、設計段階で検討しなければなりません。
さらに、床下エアコンを生かすためには、建物そのものの断熱・気密性能も欠かせません。断熱性の低い家では、せっかく暖めた熱が外へ逃げ続けます。隙間が多ければ、計画した通りに空気を動かすことも難しくなります。
水野建築では、断熱等級6+以上を標準とし、気密測定を行っています。
床下エアコンを検討するときも、機器だけで判断するのではなく、断熱、気密、基礎形状、間取り、吹き出し口、空気の戻り道までを一つにつなげて考えることが大切です。
「エアコン1台」という言葉だけを見ると、とても簡単な仕組みに感じます。しかし、本当に大切なのは、その1台の力を家全体へ届けられるように、建物そのものを設計することです。
設備だけを後から当てはめるのではなく、そこで暮らすご家族の生活まで考え、建物と設備を一緒に計画する。
今回のセミナーを受講し、床下エアコンは単なる一つの機器ではなく、「住まい全体でつくる空調」なのだと改めて感じました。

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岐阜県土岐市、注文住宅&省エネ・快適・健康リフォーム工事の水野建築でした。
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「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2019」優秀賞を受賞しました。
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