3回シリーズの2回目です
床下エアコンというと、多くの方が冬の暖房を思い浮かべると思います。暖かい空気を床下へ送り、床のガラリから各部屋へ届ける方法は、足元の冷えを和らげるうえで有効です。
しかし、高断熱住宅の空調計画では、冬だけでなく「夏をどう快適にするか」が、より難しい課題になります。
暖かい空気は上へ移動しやすいため、床下からの暖房は比較的相性のよい方法です。一方、冷たい空気は下にたまりやすく、床下から自然に居室へ上がってはくれません。
そのため、床下エアコンを冷房に使用すると、床下だけが冷えて居室はなかなか涼しくならないということがあります。床下の温度を下げすぎると、夏の湿った空気が冷たい部分に触れ、結露する危険性も高まります。
床下冷房を行う場合は、ファンで冷気を居室へ押し上げるなど、十分な風量を確保する仕組みが必要です。
ただし、ファンを付ければ必ず解決するわけではありません。どこから空気を送り、どこを通って戻すのかまで計画しなければ、エアコンの周囲だけで空気が回る「ショートサーキット」が起きてしまいます。

もう一つ重要なのが、窓から入る夏の日差しです。
日当たりのよい大きな窓は、冬には太陽の熱を取り込めますが、夏に日差しをそのまま入れると、大きな冷房負荷になります。
特に西日は太陽の位置が低く、庇だけでは遮りにくいため注意が必要です。
セミナーでは、条件によっては一つの窓から約430Wもの熱が入る例が紹介されました。これは、小型の暖房器具を夏の室内で使っているような状態です。この熱をエアコンだけで何とかしようとしても、効率はよくありません。
夏の日差しは、室内へ入ってからカーテンで遮るより、すだれ、外付けシェード、アウターシェードなどで窓の外側から遮る方が効果的です。
外付けが難しい窓では、遮熱性のあるハニカムスクリーンなども選択肢になります。

水野建築では、UA値などの断熱性能だけでなく、窓の方位や大きさ、冬の日射取得、夏の日射遮蔽まで考えて設計しています。
同じ断熱性能の家でも、窓の配置と日差しの扱い方によって、室温や光熱費は変わるからです。
床下エアコンを採用するかどうかを決める前に、まずは建物へ入ってくる熱を減らす。そして、冷房と除湿に必要な能力、空気の循環、結露の危険性まで確認することが大切です。
快適な家は、大きなエアコンで無理に冷やす家ではありません。日差しを上手に遮り、小さなエネルギーで無理なく涼しさを保てる家です。
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