エアコン1台の全館空調で、私たちが大切にしたいこと

3回シリーズの3回目です

「エアコン1台で家全体を快適にできます」と聞くと、省エネで経済的な家を想像されると思います。

実際に、高断熱・高気密の住宅で空気の流れを正しく計画すれば、市販のエアコン1台を中心に家全体の温度差を小さくすることは可能です。

ただし、どのような住宅でもエアコンを1台付ければ実現できるわけではありません。

大切なのは、建物の断熱・気密性能、窓の日射対策、エアコンの能力、空気の循環、換気、湿度管理を一つの仕組みとして考えることです。

特に夏の冷房では、室温を下げるだけでなく、空気中の水分も取り除かなければなりません。温度として感じる熱を「顕熱」、湿気が持っている熱を「潜熱」といいます。

人の呼吸や発汗、料理、入浴、室内干しでも湿気は増えます。さらに、換気によって外から取り込む空気にも多くの水分が含まれています。

セミナーでは、東京の夏を想定した30坪ほどの住宅の場合、第三種換気によって入る外気だけでも、1日当たり約25リットル相当の水分を取り除く必要があるという試算が示されました。エアコンの室外機付近から出るドレン水は、室内から取り除いた湿気なのです。

そのため、全館空調ではエアコンをこまめに切るより、負荷に合わせて安定した連続運転を行う方が、室温と湿度を保ちやすい場合があります。

また、温度だけでなく湿度も交換できる全熱交換型換気を採用すると、エアコンにかかる除湿負荷を軽減できます。

一方、エアコンが効かないときに、すぐ大型機種へ交換するのは注意が必要です。

原因が能力不足ではなく、吹き出した空気が各部屋へ届いていないことや、戻り道がないことなら、機器を大きくしても根本的な解決にはなりません。

水野建築では、数値だけで判断せず、実際の温度、湿度、風量、消費電力などを確認することを大切にしています。計算上は問題がなくても、現場で設計通りに空気が動いているとは限らないからです。

そして、もう一つ忘れてはいけないのが将来の交換です。エアコンは永久に使える設備ではなく、一般的には10年前後を一つの目安として、故障や更新を考える必要があります。床下や小屋裏へ設置する場合も、点検や清掃、取り外し、交換が無理なくできるようにしておかなければなりません。

新築時に高価で特殊な設備を導入しても、十数年後に修理できなければ困ります。身近な市販品を使い、地域の業者が点検・交換できるようにすることも、長く安心して暮らすための性能の一つです。

エアコン1台の全館空調は、うまく設計すれば魅力的な方法です。しかし、水野建築が目指すのは「1台で動いている家」ではなく、30年、40年先まで無理なく快適に暮らせる家です。建物と設備、そして将来のメンテナンスまでつなげて考えることが、本当の意味での省エネ住宅だと思います。

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岐阜県土岐市、注文住宅&省エネ・快適・健康リフォーム工事の水野建築でした。

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「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2019」優秀賞を受賞しました。

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