秋も少しずつ深まり、日が暮れるのが早くなってきました。夕方になると、窓から入る風にも冷たさを感じるようになります。
季節が変わるこの時期は、普段あまり気にしていなかった住まいの快適さについて、改めて考えるよい機会かもしれません。
最近の家づくりでは、「キッチンの近くにパントリーが欲しい」というご要望をいただくことがあります。
パントリーとは、食品や飲料、日用品などをまとめて収納するスペースのことです。
まとめ買いをするご家庭や、災害時の備蓄を考える方にとって、とても便利な収納です。
しかし、パントリーは広くつくれば使いやすくなる、というわけではありません。
今回は、知っておくと得をするパントリーの計画についてお話しします。
■収納は「広さ」よりも「奥行き」が大切です
パントリーを計画するとき、まず考えたいのが棚の奥行きです。
収納量を増やそうとして奥行きの深い棚をつくると、手前の物に隠れて、奥に何があるのか分からなくなることがあります。
その結果、同じ食品を何度も買ってしまったり、気が付いたら賞味期限が切れていたりすることも。
そこで水野建築では、収納する物に合わせて棚の奥行きを考えることが大切だと思っています。
例えば、缶詰や調味料などは奥行き25~30cm程度、飲料や大きな収納ケースには35~45cm程度を目安にすると使いやすくなります。
収納は「たくさん入ること」よりも「何があるか分かり、簡単に取り出せること」が大切なのです。
■買い物から帰って、何歩で片付けられますか?
意外と見落とされるのが、パントリーの位置です。
玄関から遠い場所にあると、お米や飲料など重い荷物をキッチンまで運ぶことになります。
反対に、玄関からキッチンへの動線上にパントリーがあれば、買ってきた物を途中で収納できます。
ただし、玄関に近ければよいというものでもありません。
毎日の料理で使う食品は、キッチンからすぐ取り出せる場所にある方が便利です。
「買ってきた物をしまう動線」と「料理で取り出す動線」。
この両方を考えることが、家事をラクにするポイントです。
■知らないと後悔する、パントリーの温度と湿気
ここが今回、一番お伝えしたいところです。
パントリーは食品を保管する場所ですから、温度や湿度にも注意が必要です。
例えば、西日の当たる場所や冷蔵庫の放熱がこもる場所では、室温が上がりやすくなります。
また、湿気が多いと食品の保存環境が悪くなったり、収納内部にカビが発生したりする可能性もあります。
そのため、直射日光を避け、室内の空気が極端にこもらないように計画することが大切です。
冷蔵庫や冷凍庫を設置する場合は、機器の放熱スペースやコンセントの位置も忘れてはいけません。
パントリーは単なる物置ではなく、食品を適切に保管するための場所でもあるのです。

■防災備蓄にも役立つ「ローリングストック」
パントリーがあれば、災害時に備えた食品や飲料も収納できます。
おすすめしたいのが、普段食べている食品を少し多めに買い、使った分だけ補充する「ローリングストック」です。
特別な非常食だけをしまい込むのではなく、日常生活の中で備蓄を続ける方法です。
古い物から使えるよう、棚の配置を工夫しておくと管理もしやすくなります。
ただし、飲料水など重い物は、地震で落下しないよう低い位置に収納することが大切です。
■本当に独立したパントリーが必要でしょうか?
パントリーを広くすれば、その分、建築費用もかかります。
また、収納を増やしたことでキッチンや通路が狭くなっては本末転倒です。
ご家庭によっては、独立した部屋を設けるよりも、キッチン横に奥行き30~45cm程度の収納棚をつくる方が使いやすい場合もあります。
大切なのは、収納する物の量と、毎日の使い方を考えることです。
水野建築では、家づくりは単に部屋や収納を増やすことではなく、30年、40年先まで無理なく快適に暮らせる住まいを考えることだと思っています。
パントリーも、広さや見た目だけで決めるのではなく、「何を、どこに、どのように収納するのか」を考えてみてください。
収納のつくり方を少し工夫するだけで、毎日の家事がラクになり、食品の無駄も減らせます。
これから新築やリフォームをお考えの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

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