【第3回】明るい家=大きな窓、ではありません

― 昼光(自然光)を上手に使う家づくり ―

三月に入り、日差しの中に春のやわらかさを感じる頃となりました。

桃の節句を過ぎて、街の景色もどこか華やいで見えます。

前回は、夏を心地よく過ごすための「通風計画」についてお話ししました。

今回はその続きとして、昼光(ちゅうこう)利用、つまり自然の光を上手に取り入れる考え方についてご紹介します。

「明るい家にしたい」と考えると、

「大きな窓をたくさん付ければいいのでは?」

と思われる方も多いかもしれません。

しかし実際には、

窓の大きさよりも、位置と使い方がとても重要です。

(今回は5回シリーズの3回目です)

■昼光利用とは「自然光をコントロールすること」

昼光利用とは、

昼間の太陽の光を室内に取り込み、

照明に頼りすぎず、心地よく過ごすための工夫です。

ただし、

光は多ければ良いわけではありません。

直射日光が強すぎると、

・まぶしい

・一部分だけ極端に明るくなる

・逆に部屋の奥が暗く感じる

といったことも起こります。

大切なのは、光をやわらかく、均一に広げることです

■高い位置の窓が、室内をやさしく照らす

講義の中で特に印象的だったのが、

「窓は高い位置にあるほど、光がうまく回る」

という考え方です。

高窓には、

・光が部屋の奥まで届きやすい

・床や目線に直射が当たりにくく、まぶしさを抑えられる

・外からの視線を気にせず採光できる

・周囲の建物の影響を受けにくい

といった多くのメリットがあります。

「明るいけれど落ち着く空間」は、

こうした高窓の使い方から生まれることが多いと感じました。

■吹き抜けや反射を使って、光を奥へ届ける

吹き抜けや階段室も、

昼光利用では大きな役割を果たします。

上から入った光が、

壁や天井に反射しながら、

家の中全体に広がっていくことで、

照明を付けなくても十分な明るさを感じられる時間が増えます。

また、庇(ひさし)や窓上部の壁で光を受け、

天井に反射させる「ライトシェルフ」のような考え方も、

自然光を上手に使う一つの方法です。

■「付属物」が光の質を変える

意外と見落とされがちなのが、

窓に付ける付属物の役割です。

ブラインド、障子、ロールスクリーンなどは、

単なる目隠しではありません。

これらを使うことで、

強い光をやわらかく拡散させ、

室内の明るさを均一にすることができます。

逆に、何も付いていない窓は、

そこだけが極端に明るくなり、

結果として他の場所が暗く感じてしまうこともあります。

■北向きの窓にも、役割がある

北向きの窓は、

「暗い」「寒い」と思われがちですが、

実はとても質の良い光を取り込める方位でもあります。

直射日光が入らないため、

・光が安定している

・庭や植栽がきれいに見える

・時間帯による明るさの差が少ない

といった特徴があります。

もちろん断熱性能はしっかり確保する必要がありますが、

空間の使い方次第では、

とても心地よい場所になります。

■明るさは「暮らし」とセットで考える

昼光利用で大切なのは、

どの部屋で、どんな時間を過ごすのかを考えることです。

・朝の光を感じたい場所

・落ち着いた明るさがほしい場所

・夜の照明が主になる場所

それぞれに合った光の取り入れ方があります。

数値だけではなく、

暮らしのシーンを思い浮かべながら計画することが、

本当に心地よい住まいにつながると感じました。

■次回予告

次回は、「窓は断熱だけで選ばない」をテーマに、

U値や日射の考え方を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

GX志向型住宅やエコハウスを考えるうえで、

「数字に振り回されない窓選び」のヒントになれば幸いです。

明るさの感じ方は、窓の大きさより“位置と使い方”で変わります。

「明るいのに落ち着く家にしたい」

そんなイメージがあれば、ぜひお気軽にお聞かせください。

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